
NYCの7th Ave. southにあったSweet Basilで
Lonnie Plaxicoに初めて会ったときは、Art BlakeyのJazz Messengersの若いベーシストでしかなかったがすでに音楽に真摯な態度だけは光っていた。インターミッションにカウンターでOJを飲みながら、スーツで演奏する馬鹿馬鹿しさをボスの目を盗んで嘆いていた。若かった。当時幼児だった娘の写真を嬉しそうに見せていた。酒もタバコも大麻もやらないが、女に目がなかった。そして今はもう立派な40代となり、立派なBand Leaderになるべく孤軍奮闘中である。今になってArt BlakeyやJack De Jonetteたちの気持ちがわかってきたという。興行の世界は難しい。商業的な成功と音楽的な成功は表裏一体でないことは明白で、音楽が長けているからといってチャンスがめぐってくるものではない。音楽業界で優秀なサイドマンとして表街道を歩んできた彼は表も裏も知り尽くしている。マーケットの好みも十分に知っている。それでも敢えて聴衆におもねらない彼を友人として心から尊敬しているし、誇りに思っている。ツアーを組むのも一苦労。これまで出入りしていた有名なジャズクラブもLonnieはともかく若いミュージシャンで構成されたバンドにはおおいに不安を覚えていろいろうるさいことをリクエストする。ツアーメンバーとして慣れてなくても構わないから同じぐらいの名の知れたミュージシャンを入れろと。Lonnieのリズム、ベースプレイは非常に緻密で確かな技術に裏打ちされている。特にサイドマンのときには封印していたソロは圧巻だが、リーダーとして、ライブでは自分だけ突っ走ることは自重している。同年代はみな同じ悩みを抱えている。奇しくも他のミュージシャンが言っていた。「爆発的にCDをヒットさせるには魂を売る必要がある。videoにいい女を裸同然にして出演させて演奏すればいいのさ。キャッチーなフレーズをところどころ入れて。」中堅である同世代は互いに自分の音楽を抱えているから、人のバンドに出演するにしても準備万端とは限らない。こういうゲストはいつもレギュラー化している貪欲な若い子に喰われる事が多い。どちらが本当の形なのか。彼には答えはわかっている。苦悩は続く。頑張って欲しい。