友人に連れられて
NY Halemの非合法
ジャズクラブに何回か行ったのは面白い体験だった。それはくすんだビルが建ち並ぶ175丁目辺りにある。もちろん店名など表示しておらず、建物の前にはフェンスがあり、プレートにはレコーディングスタジオとある。そこでカメラ付きインターフォンを鳴らし、慣れた様子で友人が名前を言うと、フェンスの奥のほうから体格のいい黒人のおにいさんがでてきて目視で我々を確認する。無事確認が済むとやにわに人懐っこいにっこり笑顔でWelcomeと声をかけ、奥にある建物のドアヘと案内してくれる。そのドアの前にまたカメラ付きのインターフォンがあり、そこにおにいさんが指でOKサインをして合図。ここでやっとマスターである小太りおじさんが、中からドアを開けてくれ、握手したりハグしたりして歓迎してくるのだ。中は当然ガンジャの匂いで充満しているわけだが、
St.Nick's Pubと同様にご近所さんとおぼしき高齢者がこざっぱりした格好で何人もきているので、あんまり危険な感じはしない。中はステージとこじんまりしたテーブル、椅子のセットが何組かとソファ、奥にカウンタがあり、結構盛況だ。ミュージシャンは固定しているようだが、達者なおっさんたちの演奏でそこそこ楽しめる。ただ、普通のジャズクラブと明らかに違うのはどのテーブルの上にもキャンドルとともにクリネックスの箱が置いてあること。厳重な出入りチェックや監視カメラを装着してるだけのことはあり、結構コカイン吸ってる人がいるんでティッシュが必要なんだそうだ。それにしてもこんなにオープンにクラブのテーブルでみんなに見える形で堂々とコカイン吸ってるには驚いた。はっきりいってカウンターのほうには売人もいた。ただし、みんながみんなそうではないので、まあ、知らんぷりして楽しんでる人のほうが多いかもしれない。そう危なくなさそうな人同士でも気安く声をかけ、話したり一緒に踊ったりできるのは楽しい。友人が知り合いの日本の映画監督にここを紹介したら気に入って結局ロケに使われたのだが、映画では健全な描写にとどまったようだ。それにしても明け方まで元気に踊る高齢者。ハーレムのお達者クラブは深いぞー。