これまでちょこちょこ住む場所や仕事の場所が変わってきた。
旅行で訪れた場所もある。
半年過ごしても思い入れが全くない場所、
感覚的に大嫌いな場所もある反面、
短い滞在でも印象深い、好きな場所もある。
そういう中でこのところ不思議に思うのは
そこに再び訪ねるだけでその頃の自分にすっと戻ってしまう場所があること。
学生のときに住んでいて、今でも大好きな
新宿。
普段都内にいても用がなくて寄り付く機会がないものの
たまに用があっていくと、まるで感覚が20歳の学生に戻ってしまう。
学生のときに好んだものしか見えないし、食べない。
新宿のあの雑多で自由でなんでも飲み込んでしまう感じや
人が何をしていてもかまわない感じが大好きだったし、
今もその断片を感じる。
ゲイがおおっぴらに遊び、やくざも風俗嬢も学生もいる。
店の面白さに共鳴して安い時間給で楽しくバイトしていた店もまだ健在。
ときどき寝起きに「あんなに楽しいバイトなんで最近やらないんだっけ?」と
呆けることがある。
もう定職を得てしまったし、向こうも雇いたがらないだろうけど
あの楽しさは捨てがたかったし、
機会があったらまたやってみたい、今でも。
学生のとき何回か長期の休みを親戚のうちでだらだら過ごした
NY。
今でも興味があるのはその頃と全く同じで、
ポストカード屋やポスター屋、downtownの趣味の悪いT-shirts屋、
body pierceとか文房具, 本、CD, DVD, Bed linen, lingerieなど。
全く変わっていない自分。
人に5th avenueなんか連れて行かれても
興味が沸かず、downtownに行きたくてそわそわする。
自分の今の立場を完全に忘れ去っているせいで、
知り合った人が自慢そうに職業を言ったのが実は同業なのに
「へえー」とか学生のような反応しかせずにいて、
他の人に指摘されて初めて我に返ったこともあった。
それは何回行っても変わらない。
おばさんなのに勝手に学生に戻る自分。
あとはなんと言っても生まれ故郷、
横浜の最南部。
東京に暮らして嫌なところは、
休みの日に何をするかを事前に考えない限り、
うまく過ごすことが難しいこと。
山や海に行くには渋滞を避けることを考えたら早朝から身構えないと動けない。
起きてみないと天候だってわからないのに。
しかも1時間以上は覚悟しないと海も山もない。
それに対し、そこのなにがいいって、
起きたときの天気や体調や気持ち次第で
山にも海にも洒落た場所にも、
はたまた横浜中心部や東京にも30分以内にすぐ行けることだ。
今でも晴れた空、暑い空気を感じると、
水着きてラジカセ持ってチャリンコで近くの海に甲羅干しにいきたくなる。
近くの岩場でロッククライミングの練習のこれまた初歩練習したり、
山歩きをして鎌倉に抜けるのも楽しかった。
東京ではどうあがいてもできないこと。
かくして普段の日々は年齢なりの大人として埋没して暮らしているのである。