音楽を聴くのは好きでも、
楽器を弾くことに全くセンスのない私である。
小学生の時にピアノを習わされていたときは練習するのが苦痛で
どうやってさぼろうかとばかり思っていた覚えがある。
成長する過程でいろいろな音楽に触れてくると
やってみたい楽器が次々でてきて
センスがないのは重々承知しておりながら一通りトライした。
ギターもベースもキーボードも教則本一冊分はやったが、
どうにもそれ以上進まず中断したままとなった。
比較的長く飽きずに続けていられたのが、
テナーサックスである。
ただし、悲しいかな延々とビギナーのままである。
昼間に家にいることもできた学生のときは
大きな音がでるサックスの練習をするのも苦でなかった。
仕事をするようになって昼間に家にいることは皆無で
まとまった時間もとれず、教室に通うこともできない。
かといって、夜公園で吹けばよさそうだが、
行ってみるとギャラリー(青テントに住むホームレスの安眠を妨害。)が多すぎる。
犬嫌いなのに公園には犬の散歩をしている人が多く、
犬から逃げ回るのに必死で全く集中できない有様。
夜に家で吹くためには防音装置が必要だと、
一時期いろいろ調べたが、それがまた一筋縄ではいかない。
サックスの場合、トランペットのようにミューターはない。
管にタオルなどを詰め込むと全く音がでなくなり、練習にならない。
防音室は最小でも馬鹿でかく、しかも高額である。
防音ケースというのもあって、一回店で試してみたが、
サックスのソフトケースのようでありながら、タンポンのところに
手だけを入れられるようになっているまぬけなスタイルで、
しかも防音効果はさほどでなかった。
なんだかんだで、結局流れ、もう何年も吹くことができないままである。
よもや吹けたとしても、いろいろトラブルが。
よくプロのミュージシャンに初心者の頃の練習法を聞くと、
「レコード(いまならCDか)をひたすら聞いてコピーした」
「必ず先生にはついて習ったほうがいい」と異口同音にいう。
わたしが「耳コピー」するのには膨大な時間がかかる。
そこではたと気付いたのは、彼らはコピーしたからうまくなったのではなく、
もとから「耳コピー」できるほどの「絶対音感」の持ち主であり、
そこから練習を積んで、さらにセンスも創造力も加わってプロになれたのだ。
全然違う雲上人たちなのだから、全く参考にならないのだ。
とかとか、いろいろ御託を並べているが、
センスがなくても、絶対音感がなくても、
のろのろよちよち、
好きな楽器を思う存分練習していられたらそれだけで満足なのだ。
だれに披露するつもりもないから、自己マンでしかないのだけど。