ローマ訪問も通算5回目になるものの
これまではFirenzeなど北上していく足がかりとしていたため
ゆっくりローマだけにいるのはこれが初めて。
まずは、驚愕の
パンテオン(pantheon)。
ハドリアヌス帝がAD100年代に建てたものが
時代を超えて今もなおしっかりと使われている。
ローマ時代のコンクリートと建築技術には脱帽。
明かり取りは吹き抜けになっており、
その真下の大理石の床には排水のための穴が開けられている。
パンテオンには画家のラファエルの墓がある。
ルネッサンスにおけるローマ文化への憧憬が思い偲ばれる。
銀座の和光の裏手にある「いまむら」。
カウンター11席の小さな店であるが、
実直な板前さんとその息子さんの真摯な職人仕事で
地味ながらほっとする品の数々。
最近、父が池波正太郎作品を熟読しているのを知り、
その縁の板前さんがやっているこの店に
父の誕生日の祝杯をあげにいってきた。
晩夏の和食を堪能。
どれもこれも下ごしらえが手が込んででいそうなのに
シンプルな料理でしみじみとおいしい。
唯一、真似できそうなのはイチジクのデザートかな。
それにしても居心地が良くてほのぼのしたかんじ。
(上から、まこがれいの昆布〆と擂ったきゅうりの和え物、
甘エビと鱧の子の和え物、椀物も鱧、鰹と縞鯵などの刺身、
蓼酢みたいので食べる焼鱸、
冷製の煮物は小茄子の胡麻和え、オクラ、サトイモ、
ものすごくおいしい才巻き海老のしんじょ、
梅ソースで食べる鱧の湯引きとお花のついたチビきゅうり、
デザートはブルーベリージャムがチョンとのった生クリーム乗せのイチジク)
ちなみに写真にはないがデザートの前は稲庭うどんが〆でした。
器も料理に合っていて楽しい。
なんだかんだいって
東京のこういうところが好き。
仕事で徹夜明けの日曜日、
友人と快晴で暑い銀座をぶらついたあと、
歩行者天国となった広い中央通りのビーチパラソルの下、
そよそよと気持ちいい風をうけて
道行く人をウォッチング。
和光のどまん前に
足を投げ出してゆったり座っていられるなんて幸せ。
田舎からきたと思われる中高年の団体。
旅行者や外国人の多いこと。
なぜか4丁目の交差点で記念撮影が定番らしい。
ゴルフやけと思しき日焼けした脂ぎったおやじに
髪やメークにプロ意識を感じる若い虚弱体型の女の子のカップル、
ねだってねだられて両方ともに満足そう。
ちょっとしたビーチより刺激的だし楽しめる。
これで半裸でいられれば最高だけど、
さすがに我に返って思いとどまった。
暑くなったら天下の銀座、
どこでもビシーっと冷房が効いてるから
どこかの店に一歩入れば急速冷却してくれる。
銀座のど真ん中とあってtake outは選り取りみどり、
なにくれと買ってきて一日中いるのも楽しそう。
不思議に空席が多いから簡単に座れる。
夏の暑さが大好物の人、ほんとにお勧め。
これまでちょこちょこ住む場所や仕事の場所が変わってきた。
旅行で訪れた場所もある。
半年過ごしても思い入れが全くない場所、
感覚的に大嫌いな場所もある反面、
短い滞在でも印象深い、好きな場所もある。
そういう中でこのところ不思議に思うのは
そこに再び訪ねるだけでその頃の自分にすっと戻ってしまう場所があること。
学生のときに住んでいて、今でも大好きな
新宿。
普段都内にいても用がなくて寄り付く機会がないものの
たまに用があっていくと、まるで感覚が20歳の学生に戻ってしまう。
学生のときに好んだものしか見えないし、食べない。
新宿のあの雑多で自由でなんでも飲み込んでしまう感じや
人が何をしていてもかまわない感じが大好きだったし、
今もその断片を感じる。
ゲイがおおっぴらに遊び、やくざも風俗嬢も学生もいる。
店の面白さに共鳴して安い時間給で楽しくバイトしていた店もまだ健在。
ときどき寝起きに「あんなに楽しいバイトなんで最近やらないんだっけ?」と
呆けることがある。
もう定職を得てしまったし、向こうも雇いたがらないだろうけど
あの楽しさは捨てがたかったし、
機会があったらまたやってみたい、今でも。
学生のとき何回か長期の休みを親戚のうちでだらだら過ごした
NY。
今でも興味があるのはその頃と全く同じで、
ポストカード屋やポスター屋、downtownの趣味の悪いT-shirts屋、
body pierceとか文房具, 本、CD, DVD, Bed linen, lingerieなど。
全く変わっていない自分。
人に5th avenueなんか連れて行かれても
興味が沸かず、downtownに行きたくてそわそわする。
自分の今の立場を完全に忘れ去っているせいで、
知り合った人が自慢そうに職業を言ったのが実は同業なのに
「へえー」とか学生のような反応しかせずにいて、
他の人に指摘されて初めて我に返ったこともあった。
それは何回行っても変わらない。
おばさんなのに勝手に学生に戻る自分。
あとはなんと言っても生まれ故郷、
横浜の最南部。
東京に暮らして嫌なところは、
休みの日に何をするかを事前に考えない限り、
うまく過ごすことが難しいこと。
山や海に行くには渋滞を避けることを考えたら早朝から身構えないと動けない。
起きてみないと天候だってわからないのに。
しかも1時間以上は覚悟しないと海も山もない。
それに対し、そこのなにがいいって、
起きたときの天気や体調や気持ち次第で
山にも海にも洒落た場所にも、
はたまた横浜中心部や東京にも30分以内にすぐ行けることだ。
今でも晴れた空、暑い空気を感じると、
水着きてラジカセ持ってチャリンコで近くの海に甲羅干しにいきたくなる。
近くの岩場でロッククライミングの練習のこれまた初歩練習したり、
山歩きをして鎌倉に抜けるのも楽しかった。
東京ではどうあがいてもできないこと。
かくして普段の日々は年齢なりの大人として埋没して暮らしているのである。
友人が気に入っているといって
連れて行ってくれた「ヴァンピックル」。
ワイン蒸しのムール貝が山盛り。French Friesもたんまり。
レバーパテにブルーベリージャムがマッチして
バゲットが進む進む。
ガレットやクレープの種類が豊富で粉もの好きには嬉しい限り。
店のフロントのガラスケースに豚が丸ごと寝転んでるのがみえる。
いろいろなグリルを楽しめる店でもある。
これは
「ヴァンピックル丸の内店」とはいっても
有楽町からほど近い新東京ビルの暗い地下一階になんのきなしにある。
この辺はどんどん変わっていて、高級ブランドの路面店もでて
昔とはすっかり様変わりしてます。